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相続した古い家は売るべきか?住むべきか迷う人の判断軸

相続

藤井 奨

筆者 藤井 奨

不動産キャリア16年

不動産歴16年。賃貸仲介で約1,000件、最大3,000戸の管理、売買仲介100件超と、幅広い現場を経験してきました。賃貸も売買も、どちらの視点からもお客様の疑問にお答えできるのが強みです。「何でも聞ける人」を目指して、今日も現場に立っています。

相続した古い家を前に、売るべきか住むべきか判断できず、そのまま時間だけが過ぎていないでしょうか。
空き家は放置すると老朽化や倒壊リスクが高まるだけでなく、管理費や固定資産税などの負担も続きます。
一方で、リフォームをして自分たちの住まいにする選択肢もあり、どちらが家族にとって得なのか迷いやすいテーマです。
そこでこの記事では、相続した古い家の現状と空き家リスクを整理したうえで、住むべきか売るべきかを判断するための具体的なポイントを解説します。
最後まで読むことで、自分と家族にとって納得できる結論に近づくための道筋が見えてきます。

相続した古い家の現状と空き家リスク

総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の総住宅数は約6,505万戸、そのうち空き家は約900万戸で、空き家率は13.8%とされています。
5年前の調査と比べても空き家数は増加しており、特に賃貸・売却用や二次的住宅以外のいわゆる「その他空き家」は約385万戸から約386万戸へと増えています。
このように、誰も住んでおらず使われていない住宅が、全国的に着実に増えている状況です。
背景には人口減少や高齢化に加え、相続をきっかけに利用方針が決まらないまま放置される住宅の増加があるとされています。

国土交通省の令和6年空き家所有者実態調査では、空き家のおよそ6割が相続により取得された住宅であることが示されています。
相続前に売却や活用方法を話し合うなどの対策を講じた世帯は約3割にとどまり、多くは相続後に初めて対応を検討している状況です。
また、相続によって取得した空き家の中には、建物の腐朽や破損の程度が進んでいるものも少なくありません。
こうした住宅は時間の経過とともに傷みが進み、結果として管理が難しくなる傾向があります。

空き家をそのまま放置すると、老朽化による倒壊や部材の落下、屋根材の飛散などの危険性が高まります。
害虫や小動物のすみかになったり、不法侵入や不法投棄の温床となったりすることで、防災・衛生・防犯面でも周囲の生活環境に悪影響を与えます。
こうした状況が続くと、「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、市区町村から「特定空家」や「管理不全空家」に該当すると判断されるおそれがあります。
特定空家等に指定されると、指導や勧告、命令を経て、最終的には行政代執行による解体などの措置がとられ、その費用が所有者に請求される場合があります。

相続した古い家を空き家のまま所有し続けると、毎年の固定資産税や都市計画税の負担が発生します。
特定空家等と判断され、住宅用地に対する固定資産税の軽減措置が外れると、税額が大きく増える可能性があります。
さらに、火災保険や地震保険に加入する場合、無人の家は保険料が高くなったり、補償内容が限定されたりすることがあります。
草木の手入れや通気・清掃などの管理を自分で行えない場合には、見回りや清掃の代行費用も継続的な支出となり、長期的に見ると無視できないコストになります。

空き家の状態 主なリスク 所有者の負担
軽微な老朽化の空き家 雨漏り・設備劣化 軽微な修繕費用負担
腐朽・破損が進んだ空き家 倒壊・落下物の危険 大規模修繕・解体費用
特定空家等に指定された空き家 行政指導・代執行 税負担増加・解体費用

相続した古い家に「住むべきか」を判断するポイント

相続した古い家に実際に住むかどうかを考えるときは、まず日々の暮らしやすさを丁寧に確認することが大切です。
通勤通学にかかる時間や乗り換え回数、公共交通機関の本数などを具体的に調べると、生活の負担が見えやすくなります。
あわせて、最寄りの医療機関や介護サービスの利用環境、買い物施設や金融機関の距離も、将来を見据えた重要な判断材料になります。
こうした基本的な生活利便性を整理しておくことで、無理なく暮らし続けられる場所かどうかを冷静に見極めやすくなります。

次に、建物自体の安全性や老朽化の程度を確認することが欠かせません。
旧耐震基準で建てられた木造住宅の場合、そのままでは地震時の倒壊リスクが高いとされており、専門家による耐震診断や補強工事の検討が重要になります。
また、屋根や外壁、防水部分、給排水管などの傷み具合によっては、数百万円規模の修繕費や、建替えも視野に入る費用が必要になる場合があります。
このため、建物の構造や築年数、これまでの修繕履歴を整理し、安心して長く住めるかどうかを費用面と合わせて判断することが大切です。

さらに、「住む」という選択が家計全体にどのような影響を与えるかも、丁寧に確認する必要があります。
相続した家に住むことで賃貸住宅の家賃が不要になる一方で、固定資産税や火災保険料、将来の修繕費など、持ち家特有の支出が継続して発生します。
また、老後の生活費や医療費、介護費を含めた資金計画を立てる際には、その家を長く維持する前提と、売却して資金化する前提とで、資産の残り方が大きく変わります。
家計の収支や貯蓄額、退職時期などを整理し、自分たちの将来像にとって「住み続けること」が負担にならないかどうかを見極めることが重要です。

確認項目 主な内容 判断の目安
生活利便性 通勤通学時間や買い物環境 毎日の負担が少ない立地
建物の安全性 耐震性や老朽化の程度 必要な補強費用を把握
家計への影響 税金や修繕費などの支出 老後資金と無理なく両立

相続した古い家を「売るべきか」を考える重要ポイント

相続した古い家を売却するかどうかを考える際には、まず「建物付き土地として売るか」「空き家のまま売るか」「解体して更地にして売るか」という大きく3つの選択肢を整理することが重要です。
古い建物があっても、そのまま住み替えを検討している買主が見つかれば建物付きでの売却が可能な場合があります。
一方で、建物の老朽化が進んでいる場合には、解体費用や更地にした後の固定資産税負担の変化も踏まえて判断する必要があります。
このように、どの形で売るかによって必要な費用や売却のしやすさが大きく異なるため、事前に特徴を理解しておくことが大切です。

次に、売却を検討するうえで忘れてはならないのが、相続した空き家を売却した場合に利用できる税制上の特例です。
国税庁の情報によると、「被相続人の居住用財産を売却した場合の3,000万円特別控除」の適用要件を満たせば、一定の空き家を譲渡した際に譲渡所得から最高3,000万円まで控除を受けられる制度があります。
この特例の適用には、相続開始から売却までの期間や、耐震基準を満たすための工事を行うことなど、細かな条件が定められています。
そのため、具体的な売却計画を立てる前に、適用要件や必要な手続きについて最新の情報を確認し、税負担をできるだけ抑えられるかどうかを検討することが重要です。

また、相続した古い家を「今は売らずに空き家のまま残す」場合と「早めに売却する」場合とでは、長期的なコストやリスクに大きな差が生じます。
空き家を保有し続けると、固定資産税や都市計画税、火災保険料、定期的な点検や草木の管理費が毎年発生し、長期にわたって家計を圧迫するおそれがあります。
さらに、適切な管理が行われていないと、倒壊や景観悪化などの理由から自治体により「特定空家等」に認定され、固定資産税の軽減措置が解除されるなど、税負担が増える可能性もあります。
これらの点を踏まえると、老朽化の進行や周辺環境の変化による資産価値の低下を見据え、維持費と将来の売却価格を比較しながら、売却のタイミングを早めに検討することが賢明だといえます。

売却方法 主なメリット 主な注意点
建物付き土地で売却 解体費不要・即引渡し 老朽化で売却期間長期化
空き家のまま売却 最低限の手入れで売却 管理不足で印象悪化
解体して更地で売却 利用用途が広く需要増 解体費用・税負担増加

空き家・相続した古い家で迷った時の具体的な検討手順

空き家や相続した古い家への対応で迷う時は、「住む」「売る」だけでなく、「賃貸」「一時的な保留」「管理を委託する」といった複数の選択肢を並べて考えることが大切です。
まずは、現在の家計状況や仕事、子育て、介護などの事情と照らし合わせて、何を優先したいのかを整理します。
そのうえで、生活の安定性を重視するのか、維持管理の負担軽減を重視するのか、将来の資産形成を重視するのかといった観点で、選択肢ごとの利点と不安点を書き出して比較する方法が有効です。
こうした手順を踏むことで、感情に流され過ぎず、家族の暮らし全体を見通した判断がしやすくなります。

次に、家族間での話し合いを丁寧に行うことが重要です。
特に、将来相続人になる可能性がある家族も含めて、誰がどの程度利用するつもりがあるのか、費用負担をどう分けるのかを、早い段階で共有しておきます。
不動産の相続登記は、2024年4月1日から申請が義務化され、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内の申請が必要とされています。
このため、遺産分割がまとまっていない場合でも、権利関係を明確にする方針を早めに決めておくと、将来の二次相続の際のトラブルや手続きの負担を減らすことにつながります。

さらに、公的な相談窓口や専門家を上手に活用することも大切です。
国土交通省の空き家対策特設サイトでは、空き家の所有者が最初に行うべき「登記の確認」や「家財の整理」の進め方、自治体の窓口や専門家への相談の必要性などが整理されています。
また、国は自治体に対して、空き家や所有者不明土地に関する総合的な相談窓口を設置するよう促しており、多くの自治体で空き家に関する無料相談が行われています。
相談の際には、固定資産税の納税通知書、不動産登記簿の内容、建物の築年数や修繕履歴などを整理して持参すると、より具体的な助言を受けやすくなります。

検討段階 主な確認内容 相談先の目安
方針整理の段階 利用希望・家計状況の整理 家族間の話し合い
権利関係の確認段階 相続登記の有無・持分状況 法務局・専門家
具体策検討の段階 活用方法と公的支援制度 自治体の相談窓口

まとめ

相続した古い家は、「住む」「売る」を感情だけで決めず、立地や建物の状態、費用負担、家計や老後資金への影響を総合的に見ることが重要です。
空き家のまま放置すると、固定資産税などのコストだけでなく、防災・防犯リスクや「特定空家」指定の可能性も高まります。
一方で、リフォームや建替えを行えば、資産として活かせる場合もあります。
迷われた時は、当社が現地調査から資産価値の見極め、売却・活用・相続対策まで丁寧にご提案します。
まずは現状の不安やお悩みを、お気軽にご相談ください。

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