賃貸派と持ち家派どっちが得か子育て家計で迷わない判断軸を解説の画像

賃貸派と持ち家派どっちが得か子育て家計で迷わない判断軸を解説

ライフスタイル

藤井 奨

筆者 藤井 奨

不動産キャリア16年

不動産歴16年。賃貸仲介で約1,000件、最大3,000戸の管理、売買仲介100件超と、幅広い現場を経験してきました。賃貸も売買も、どちらの視点からもお客様の疑問にお答えできるのが強みです。「何でも聞ける人」を目指して、今日も現場に立っています。

子育てが始まると、住まい選びと家計の悩みは一気に現実味を帯びます。
今のまま賃貸派でいるべきか、それとも思い切って持ち家派に踏み出すべきか。
教育費や日々の生活費も増えていくなかで、どちらが自分たちの家計に合うのか、迷う方は少なくありません。
本記事では、子育て世帯の家計の流れを押さえながら、賃貸と持ち家それぞれの特徴とリスク、そして検討のステップを整理します。
共働き家庭でも専業主婦(夫)家庭でも、自分たちにとって無理のない選択肢が見えてくるはずです。
これからの数十年を左右する住まいの判断を、いっしょに丁寧に確認していきましょう。

子育て世帯の家計と住まい選びの基本

子育て期の家計では、教育費や食費などの生活費に加えて、住居費の配分が大きな課題になります。
総務省統計局「家計調査」では、子どもの年齢が上がるにつれて教育関係費の割合が高まり、特に40代前後の世帯で負担が重くなる傾向が示されています。
そのため、家賃や住宅ローン返済をどの程度に抑えるかを考える際には、将来増えていく教育費や習い事代を見越して住居費を設定することが大切です。

また、家計全体の中で住居費が占める割合を意識することも重要です。
一般に、住宅金融支援機構や家計関連の統計では、手取り収入に対する住居費の目安としておおむね20%前後までをひとつの基準とする考え方が用いられています。
子育て期は食費や教育費、保険料など他の支出も増えやすいため、この水準を大きく超えない範囲で住まいを選ぶことが、家計の安定につながります。

一方で、日本全体の住宅事情を見ると、総務省の住宅・土地関連統計では、持ち家世帯がおおむね6割強、賃貸世帯が3割前後という構成になっています。
国土交通省の住宅市場動向調査でも、分譲戸建住宅や注文住宅の取得世帯では子育て世帯の割合が半数以上とされ、一方で民間賃貸住宅には若年層や若者夫婦世帯が多い傾向が示されています。
このように、子どもの誕生や成長をきっかけに、賃貸から持ち家へ住み替える世帯が一定程度あることが、統計からうかがえます。

さらに、住まい選びを考える際には、家計の段階ごとに必要な住居費や間取りのイメージを持っておくことが役立ちます。
妊娠期から未就学期までは、医療費や育児用品などの支出が増えやすく、小学校から高校・大学期にかけては、塾代や授業料といった教育費の比重が高まります。
こうした支出の変化を踏まえて、どの段階でどの程度の住居費まで許容できるかを事前に整理しておくと、賃貸派・持ち家派いずれの選択でも家計の見通しが立てやすくなります。

家計の段階 主な支出の特徴 住まい検討のポイント
妊娠期〜未就学期 出産費用・育児用品中心 住居費を抑え貯蓄重視
小学校〜中学校期 習い事・学習費が増加 通学環境と家賃の両立
高校〜大学期 授業料・進学費用の負担 教育費確保へ住居費見直し

賃貸派で子育てするメリット・デメリットと家計インパクト

賃貸住宅は、転勤や勤務先の変更が起きやすい共働き世帯にとって、住み替えがしやすいことが大きな強みです。
子どもの成長に合わせて、通園・通学に便利な場所や、広さの異なる住まいに移る選択肢も取りやすくなります。
また、住宅ローンを抱えずに済むため、今後の進学や習い事など、教育費の増加に応じて家計配分を変えやすい点も特徴です。
こうした柔軟性は、将来の見通しが立ちにくい子育て期の家計管理において、安心材料のひとつになります。

一方で、賃貸には賃貸特有の家計リスクがあります。
一般的な賃貸契約では期間が約2年とされ、その都度、契約更新の可否や条件が見直される場合があります。
国土交通省の調査を基にした民間の整理によると、更新料のある物件では家賃の0.5〜1か月分程度を支払うケースが多く、実質的に住居費が上乗せされる負担となります。
さらに、周辺の家賃水準が上昇した場合、更新時に家賃が引き上げられる可能性もあり、長期の固定的な支出計画が立てにくい面があります。

また、高齢期まで賃貸で暮らす場合には、別の負担や不安も見えてきます。
単身高齢者や高齢夫婦世帯については、入居審査で収入や健康状態が重視される傾向があり、希望する物件を借りにくいという課題が指摘されています。
こうした状況を受けて、高齢者向け賃貸住宅の整備や、住宅確保要配慮者への支援制度が進められていますが、現時点でも地域や物件によって受けられる支援に差があります。
そのため、子育て期から高齢期まで賃貸で暮らすことを想定する場合には、老後の収入と住居費のバランス、高齢期の住み替え先の選択肢を、早い段階から意識しておくことが大切です。

項目 賃貸のメリット 賃貸のデメリット
子育て期の住み替え 転勤や転校に柔軟対応 更新ごとの条件変更懸念
家計への影響 住宅ローン負担なし 更新料や家賃上昇の可能性
高齢期の暮らし サービス付き住宅の選択肢 入居審査や確保の不安

持ち家派で子育てするメリット・デメリットと家計インパクト

持ち家で子育てをする場合、住宅ローンの返済に加えて、固定資産税や火災保険料、将来の大規模修繕費など、長期にわたる支出を見通しておくことが重要です。
例えば、住宅金融支援機構の調査では、住宅ローン利用者の総返済負担率の平均はおおむね20%台前半となっており、多くの家庭が年収の約4分の1前後を返済に充てています。
さらに、固定資産税は標準税率が課税標準額の1.4%とされ、これに加えて戸建て・マンションともに修繕費の積立が必要とされています。
このように、毎月の返済額だけでなく、税金や維持費を含めたトータルの住居費を把握することが、子育て家計を守るうえで欠かせません。

持ち家には、教育環境や生活環境を安定させやすいという大きな利点があります。
同じ学区に長く暮らせることで、子どもが転校せずに友人関係や習い事を継続しやすく、保護者も地域のつながりを築きやすくなります。
また、長期的には住宅ローン完済後に住居費の負担が軽くなり、子どもの進学期や老後の生活費にゆとりを持たせやすいという、資産形成的な側面も期待できます。
ただし、購入時の立地や住宅の性能によって、将来の売却価格やリフォーム費用は大きく変わるため、教育環境と資産価値の両面を意識した住まい選びが求められます。

無理のない持ち家計画とするためには、返済比率・頭金・将来の備えの3点を押さえることが大切です。
民間金融機関の多くは、住宅ローン審査の返済比率上限を30〜40%程度としており、子育て世帯が安心して返済を続けるには、手取り収入に対する返済比率をおおむね20〜25%程度に抑えることが一つの目安になります。
また、頭金を多めに準備すれば、借入額と毎月返済額を抑えやすく、教育費が増える時期の家計負担を軽減しやすくなります。
さらに、建物価格の約1%程度を毎年修繕積立として確保する目安も紹介されており、戸建てでもマンションでも、計画的に維持費を積み立てておくことが、安心して持ち家で暮らし続けるためのポイントです。

項目 おおまかな目安 家計への意味
返済比率 手取りの20〜25%程度 無理のない返済水準
固定資産税 税率はおおむね1.4% 毎年発生する税負担
修繕積立 建物価格の約1%/年 将来の大規模修繕原資

賃貸派か持ち家派か?子育て家計で後悔しない判断ステップ

まず押さえたいのは、「今払えるかどうか」だけでなく、「生涯でいくら住居費に使うか」を見ることです。
総務省統計局の家計調査では、子育て世帯の消費支出に占める住居費と教育費の割合が家計を大きく左右する結果が示されています。
そこで、現在の家賃や検討中の住宅ローン返済額に加え、固定資産税や管理費・修繕費、引越し費用なども含めた総額を試算することが大切です。
教育費についても、公立中心か私立を選ぶか、塾や習い事の有無など、現実的な前提を置いて比較することで、無理のない住まいの上限額が見えてきます。

次に確認したいのが、家族の今後の暮らし方や働き方の見通しです。
国土交通省の住宅市場動向調査では、持ち家取得の理由として「子どもの成長」「通学利便性」が多く挙げられていますが、一方で転勤や転職、親の介護などで数年以内に居住地が変わる可能性がある世帯も少なくありません。
そのため、少なくとも今後10年ほどの見通しとして、転勤の可能性、仕事と育児の両立の方針、実家からの育児支援の有無や将来の同居の可能性などを書き出して整理することが重要です。
こうした条件を視覚的に整理すると、賃貸の柔軟性を優先すべきか、持ち家の安定性を重視できる状況かが判断しやすくなります。

最後に、賃貸・持ち家のどちらを選ぶ場合でも、家計を安定させるための共通の点検項目を確認しておきましょう。
住宅金融支援機構の調査では、住宅取得後に家計が苦しくなった理由として、予備費不足や修繕費の見込み違いが挙げられているため、緊急予備資金や教育費の積立を確保したうえで住居費を決めることが欠かせません。
また、生命保険文化センターの生活保障に関する調査からは、病気や失業による収入減少への不安が大きいことも示されており、団体信用生命保険や就業不能時の保障を含めた備えも検討する必要があります。
これらを踏まえて、途中で住み替えや働き方の変更があっても破綻しない計画かどうかを、夫婦で定期的に見直すことが、後悔しない住まい選びにつながります。

確認項目 賃貸の場合 持ち家の場合
住居費の上限 手取りの約25%以内 返済比率と維持費
ライフプラン 転勤・転校の想定 長期居住の前提
備えておく資金 引越し・更新費用 修繕・固定資産税

まとめ

子育て期の住まい選びは、賃貸派か持ち家派かの正解探しではなく、家計とライフプランに合う選択をすることが大切です。
教育費や老後資金まで含めて生涯の支出を見える化すれば、「なんとなく不安」が「ここまでなら大丈夫」に変わります。
当社では、家計シミュレーションとライフプランのヒアリングを通じて、賃貸・持ち家それぞれのメリットとリスクを丁寧に整理します。
自分たち家族に合う判断軸を一緒に作りたい方は、まずはお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら